電子材料用途
エボニックでは、さまざまな電子材料用途で使用することができる特殊な無機微粒子の製品を提供しています。
フュームドシリカAEROSIL®、フュームド金属酸化物AEROXIDE®、フュームドシリカ又はフュームド金属酸化物の均一分散液AERODISP®、これらの製品は、純度と製品均質性において、最高水準の品質を満たしています。
無機微粒子は、さまざまな電子材料用途において望ましい効果を得るために不可欠な存在です。AEROSIL®およびAEROXIDE®の主要な用途の1つは、CMP(Chemical-Mechanical Planarization)で、研磨剤として機能します。
ディスプレイやLED産業だけでなく、集積回路(IC)のバリューチェーンにおける製造工程や材料には、無機粒子としてAEROSIL®およびAEROXIDE®、または液体に分散された無機粒子としてAERODISP®が必要とされます。
CMP(化学機械平坦化)
エボニックは、フュームド金属酸化物粒子の世界最大の供給メーカーであり、半導体産業へのCMP用の研磨粒子の供給では豊富な実績があります。
エボニックは、全ての分野の成長市場で利用できる電子材料用グレードを製造しており、さらに、お客様が必要とする粒子ソリューションの開発に、現地の製造拠点を利用することができます。
エボニックは、CMP業界への供給では10年以上の経験を持ち、お客様の特殊な要件を理解し、お客様と考え方を共有しています。既存の用途での工程の収率・効率の向上目的でも、次世代の金属CMPスラリーの開発目的でも、エボニックは、豊富な経験と技術力により、半導体用途の厳しい条件を満たすAEROSIL®、AEROXIDE®製品をご提供することが可能です。
エボニックのAEROSIL®とAEROXIDE®では、開発中のナノ構造製品もございます。お客様が国際半導体技術ロードマップ(International Technology Roadmap for Semiconductors: ITRS)に対応できるよう、開発中のフュームド金属酸化物、混合金属酸化物、表面処理金属酸化物など各種、ご利用いただけます。
色素増感太陽電池
色素増感太陽電池(dye-sensitized solar cells: DSSC)は、費用効果が高く、従来の太陽電池の代替品として、人気が高まっています。DSSCの重要な部材は特注の二酸化チタンで、これは、多孔質電極の出発物質として使用されています。エボニックでは、独自の分散技術に基づいた超微細な二酸化チタン分散液を提供しています。
AEROXIDE® TiO2 P 25は、高い化学的純度、表面積などの明確な物理化学的特性、独特の相構造がよく知られており、DSSCの原材料として広く使用されています。ただし、「P 25」などのフュームド金属酸化物AEROXIDE®は、粉末の微粉度と飛散性の問題があるため、高度なハンドリングを要します。 AEROXIDE®の配合を容易化する分散体の製品があれば、配合又はプロセス技術上大いにメリットがあります。
エボニックでは、こうした課題に応えるため、分散液AERODISP®の豊富な品揃えに新製品を1つ追加しました: VP Disp. IPA 2730 Xは、有機溶媒でのフュームドチタニア(二酸化チタン)の初めての分散液です。
狭い粒度分布に均一に分散することで、粒子の凝集を抑制し、DSSCの大量生産ができるチタニアペーストの開発が可能となりました。
VP Disp. IPA 2730 Xは狭い粒度分布に分散されているため膜の特性が大幅に向上されます。
- 密で非常に規則的な層
- 狭い細孔サイズ分布
- 高い透明性
ディスプレイ、プリント基板と受動部品
フュームドシリカやフュームド金属酸化物の均一分散液AERODISP®は、光学フィルムの重合工程でブロッキング防止剤として添加され、ポリマーフィルム層同士の粘着を防止します。 また、光学フィルムに分散液AERODISP®を含有するハードコート樹脂溶液でコーティングすると、フィルムの機械的・光学的特性を向上させることができます。分散液AERODISP®に含有されている微粒子の特性によりさまざまな効果が得られます。粘着防止、グレア防止、スクラッチ防止、屈折率の調整などは、中でも特筆すべき効果です。
プリント基板(PCB)は、多数の製造工程を経て、最新の電子機器に使用されます。製造工程における重要な課題の1つとして、配線の欠陥を無くすことがあげられます。 一般に、AEROSIL®製品は、特殊なレジストインクのレオロジー特性を制御する添加剤として使用されており、エッチング工程中の配線を保護します。 また、そのAEROSIL®製品が応用されたレジストインクは、熱、湿気、埃などの環境条件から回路を保護します。 積層セラミックコンデンサ(MLCC)は、電荷を一時的に貯蔵しノイズを除去する機能があるため、電子回路で広く使用されています。 代表的なMLCCは、セラッミック誘電体、内部電極、および終端で構成されています。 MLCCの製造は複数の工程からなり、セラミックス粉体を焼結して高密度セラミックス体を形成する工程が含まれます。フュームドシリカAEROSIL®やフュームド金属酸化物AEROXIDE®を焼結助剤として少量添加すると、高密度、均質な微細構造が得られ、優れた誘電特性を維持しながら、焼結温度を下げることができます。 チタン酸バリウム(BT)は、誘電率が高いため、MLCCで使用される材料の1つです。チタン酸バリウムの製造方法は種々あり、その中で最も経済的な製造方法は、固相法で製造する方法です。フュームド二酸化チタンのAEROXIDE® P25は、BT粉体の合成で種結晶として使用することができます。
LEDを製造する上で、封止材料と蛍光体は、性能上非常に重要な役割を果たします。蛍光体は一般に粉末状で、さまざまな重量比でエポキシ樹脂やシリコーンなどの液体封止材の中に分散されます。蛍光体粒子は、液体封止剤に分散・硬化する過程において沈降する傾向があります。もし、硬化した封止材全体に蛍光体が不均質に分布した場合、白色LED中に黄白色や青白色の発光点が生じます。表面処理したAEROSIL®シリカ製品は、LED封止材中の蛍光体に対して優れた沈降防止性能を示し、透明性も良好です。
LEDの入力電力が増加すると、基板は、LEDダイから発生する熱を素早く環境中に放散する必要があります。セラミック基板は、高出力LEDに適しており、迅速な熱の放散を可能にします。炭化ケイ素(SiC)と窒化アルミニウム(AlN)は、熱伝導率(CTE)が良好で、熱膨張率も好適なセラミック素材として適切な材料です。高純度の親水性フュームドシリカAEROSIL®とフュームド酸化アルミニウム AEROXIDE®は、SiCやAlN粉体の原材料として使用することができます。
LED蛍光体は、LED照明の発光効率、耐用年数、演色評価数(CRi)を決める重要な材料です。 LED蛍光体の開発は、安定性の低い硫化物とハロゲン化物から開始されました。それを追って、高温と化学的安定性のあるアルミン酸塩やケイ酸塩、窒化物、オキシ窒化物の蛍光体が開発され市場に投入されました。 高純度の親水性フュームドシリカAEROSIL®とフュームド酸化アルミニウム AEROXIDE®は、蛍光体の結晶格子で重要な構成要素として作用し、ケイ酸塩又はアルミン酸塩の蛍光体に対して共有原子価の調整(活性体と電子を共有している配位子の変更)、結晶場の調整(結晶構造の変更)ができます。